ある日、歩くたび足が浮いて足首を痛めやっとの事で帰宅。
持っている殆どの草履と下駄の鼻緒部分が緩くなり、いよいよ修理に出さなくては着物が着られなくなる事態。
なかなかお直しに出さなかった理由は、我が家周辺では、履物屋を全く見かけないから。
試しに呉服店で尋ねてみると、職人がいないので無理とのこと。
しかし親切にも履物屋を教えてくださいました。自転車で行ける距離です。

「○○店さんですよね。」
「そうだけど、もう店をやめたんですよ。」



奥さんらしき人が出たが、店から離れたところで電話を受けているらしく、曖昧な回答。
近所に着付教室があるため、時々ご主人が草履を直しているようだが、鼻緒はやるかどうか分からないので持ってきてみてくださいと。
大きめのエコバッグに、かさばるけれど箱のまま計3足の下駄と草履を詰め込み、淡い期待を込めて店舗へ向かいました。
店構えを見たときに、ダメだと感じました。
ごく普通の洋靴屋。
案の定、鼻緒の調整は専用の道具がないと断られてしまいました


しかしその呉服店でも、お預かり対応になってしまう


他フロアで浴衣フェアを行なっているのでそこに草履職人がいるかもしれないとの情報をもらいました。
とぼとぼ、まったく期待せず覗いてみると、いた〜〜

その職人さんは一足300円で引き受けてくれました。
これは職人さんでないとしっかり鼻緒を締めることはできないなという仕事でした。
デパートで時々職人さんが座っているのは前から知っており、そちらに頼む手があることは知っていましたが、荷物になる上、また毎回居るわけではないですし、なるべく近所で済ませたかったのです。
概ね良い気分でしたが、ただ一つがっくりしたことがあります。
浴衣フロアの60代ベテラン!?スタッフの言葉。
他のお客の対応で草履スペースに近づいてきて、
「ちゃんとした草履屋で買えば、後の対応してくれるのに。」
「よかったわね〜、本当はデパートを通すからもっと取られるのよ。」
恩着せがましいことをチクチクと。
「何でこういう人は余計なことを言うのかな。」
明らかに顔から浮いている真ピンクの口紅をまじまじと見つめて思いました。